Japanische Klassiker mit Furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Lesen Sie 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.569 Zeichen · 336 Bildschirme
あくびをして口とのどとを大きく開いた拍子に、私はひょいと飛び出しますから。さもなければ、いつまでも馬の中に住んでるか、または腹を食い破って出るかだけです。そのかわりあくびをさして下さると、この馬を百倍の力にしてあげましょう」
「なるほど、それじゃあ馬にあくびをさせるから、静かにして待っていてくれ」と甚兵衛は答えました。
ところが、馬にあくびをさせるのが大変です。第一馬のあくびなどというものを、甚兵衛はまだ見たことがありませんでした。脇腹をつついたり、鼻の穴に棒切れをさしこんだりしてみましたが、馬はくすぐったがったり、くしゃみをするきりで、あくびをする気配さえもありませんでした。それかってこのままにしておけば、悪魔の子が馬の腹の中でますます大きくなって、自然に腹が裂けるか腹を食い破られるか、どちらかになるかより外はありません。親譲りの田畑を売った金で買った黒馬が、天下一と自慢していた見事な黒馬が、そんなことになったらどうでしょう。甚兵衛はこれには途方にくれてしまいました。
「馬にあくびをさせることを知ってるものはいませんか」
そう言って甚兵衛は、仲間の馬方や村の人達の間をたずね廻りましたが、誰一人としてそんなことを知ってる者はいませんでした。