Japanische Klassiker mit Furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Lesen Sie 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.569 Zeichen · 336 Bildschirme
そしてはたと額を叩きました。
「しめたぞ! もう天狗は俺のものだ」
爺さんは懇意な家へ行って、お金をたくさんもらってきました。肉や鳥や酒を、うんと買い込んできました。酒はことに強いのを選びました。そしてひる頃から夕方まで骨折って、それは実に見事なお料理をこしらえました。夕方薄暗くなると、大きなお膳の上へごちそうを飾り立て、強い酒の徳利をいくつも並べ、ろうそくを何本もともして、天狗が来るのを待ち受けました。
しばらくたちますと、例の不思議なことが起こりました。雨戸もすっかり閉め切ってあるのに、家の中に強い風が起こって、ろうそくの火が皆一度に消えて、まっ暗となりました。爺さんはそれを待ち構えていたのです。すぐに大きな声で言いました。
「天狗さん、いよいよ来ましたね。私はあなたが好きで、この通りごちそうして待っていましたよ。どうかさらって行かないで、ここで食べていってくれませんか。私はあなたが大好きだから、一緒に一杯やりたいと思って、酒まで買っておきましたよ」
「本当か?」とだしぬけに、どら声が闇の中から響きました。
「本当ですとも、本当ですとも」と爺さんは大喜びをして答え返しました。