Japanische Klassiker mit Furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Lesen Sie 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.569 Zeichen · 336 Bildschirme
「それでは、どんな隙間からでも家の外へ出られる術を教えてください」
お爺さんは承知して、その術を教えました。
三
五右衛門はあれかこれかと考えた末に、ふといいことを思いつきました。ある大きな宿屋へ行って、すました顔で泊まり込みました。そして皆が寝静まった夜中に起き上って、隣の座敷へ忍び込み、客の金入れを盗もうとしました。もし眼を覚まされても、戸の隙間から外へ出られるから平気でした。そういう安心があったものですから、大胆にやっていますと、客が眼を覚まして「泥坊!」とどなりました。五右衛門はびっくりして、すぐ雨戸の隙間から外へ術で逃げ出しました。ところがどうでしょう、そこは二階の屋根になっていて、下におりることが出来ません。まごまごしているうちに、宿屋中大騒ぎとなって、家の中はもちろん今にもこちらへ人が見廻って来そうです。五右衛門は命がけで屋根から飛び下り、したたか腰を打ったのも夢中で、逃げ出してしまいました。逃げるには逃げましたが、その時打った腰が後で痛んで、二三日は橋の下にうんうん唸っていました。
それでも五右衛門は、二度の失敗に性こりもなく、また三度目の考えをいたしました。