Japanische Klassiker mit Furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Lesen Sie 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.569 Zeichen · 336 Bildschirme
次に見事な料理の皿が運ばれました。食卓の上に帽子となってひかえてる悪魔の鼻にも、うまそうな匂いがぷーんと伝わってきました。すると悪魔は急に空腹を覚えました。考えてみると、昨日の晩から何にも食べていなかったのです。
「うまそうな料理だな。下水の中に流れてくるものなんかとは、比べものにならない。ああいい匂いがしてる。それに俺の腹はぺこぺこだ……構うもんか、少し盗み食いをやれ」
そして悪魔は、紳士がビールのコップを手にとって、ぐーっと飲んでる隙に、皿の中の料理をぺろりと頬張ってしまいました。それに味をしめて、次の皿のもその次の皿のも、大きい口でぺろりと頬張ってしまいました。
紳士はビールを一口飲んで、さて料理を食べようとすると、皿の中にはもう何にもありません。
「おかしいな。どうも……」
次の皿もそうなものですから、しまいに紳士は両腕をくんで考えこみました。
「今日は変な日だな。夢でもみてるのかしら」
こつんと額を一つ叩いて、それから急いで勘定をして外に飛び出しました。大事な帽子を頭にのせることは忘れませんでした。
空はやはりからりと晴れて、日が照っていました。