Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.416 Zeichen · 53 Bildschirme
考えてみろ、とたんに飲まずにゃあいられなくなるんだから」
佐八が呻き声をあげ、なにか云った。登がすり寄って覗くと、あなたに話がある、としゃがれ声で、囁いた。
「お松さんも、平さんにも帰ってもらって下さい」
登は頷いて、二人にそのことを告げた。
平吉は立たなかった。お松はうちに用もあるからと云って、すぐに帰っていったが、平吉はぐずぐず文句を並べ、しまいにはそこへごろっと寝ころんでしまった。
「そのままにしといて下さい」と佐八が云った、「それで眠ってしまうでしょう、――済みませんが水を一杯いただけませんか」
登は平吉の寝ぐあいを直してやり、それから病人の湯呑を取って、火鉢にかかっている鉄瓶の湯を注ごうとした。しかし佐八は水が欲しいと云った。
「もう、なにを飲んでもいいのじゃありませんか」佐八は弱よわしく微笑した、「どうぞお願いします」
登は勝手へいって水を汲んで来てやった。
「私は貴方が、その上衣を着て下さるようになったので、うれしく思ってました」佐八は水を一と口すすってから云った、「それでまた何十人かの貧乏人が助かることでしょう」
登は来る途中のことを思いだし、おまえの云うとおりだった、と心の中で答えた。