Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうしゅうのしじん よさぶそん
郷愁の詩人 与謝蕪村
萩原 朔太郎
Lesen Sie 郷愁の詩人 与謝蕪村 (きょうしゅうのしじん よさぶそん) von 萩原 朔太郎 (はぎわらさくたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.038 Zeichen · 78 Bildschirme
更衣母なん藤原氏なんめり
こうした詩境は、西洋の詩や近代の詩には普通であるが、昔の日本の詩歌には珍しく、特に江戸時代の文学には全くなかったところである。前出の「愁ひつつ丘に登れば花茨」や、春の句の「陽炎や名も知らぬ虫の白き飛ぶ」などと共に、西欧詩の香気を強く持った蕪村独特の句の一つである。
因に、蕪村は「白」という色に特殊な表象感覚を有していて、彼の多くの句に含蓄深く使用している。例えば前に評釈した句、
白梅や誰が昔より垣の外
白梅に明る夜ばかりとなりにけり
などの句も、白という色の特殊なイメージが主題になって、これが梅の花に聯結されているのである。これらの句において、蕪村は或る心象的なアトモスフィアと、或る縹渺とした主観の情愁とを、白という言葉においてイメージさせている。
更衣母なん藤原氏なんめり
平安朝の文化に対して、蕪村は特殊の懐古的憧憬と郷愁とを持っていた。それは彼の単なる詩人的エキゾチシズムと見るよりは、彼の生活していた江戸時代の文化情操が、町人的卑俗主義に堕していたことで、蕪村の貴族主義と容れなかった上に、彼自身が京都に住んでいたためと思われる。この句もやはり、そうした主観的郷愁の一咏嘆であるが、特に心の詩情を動かしやすく、ロマンチックで夢見がちな初夏の季節を、更衣の季題で捉えたところに、句の表現的意義が存するのである。