Japanische Klassiker mit Furigana
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つげびと
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (つげびと) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.955 Zeichen · 71 Bildschirme
ああ奥さんもかわいそうだ」
涙もろい西田は、もう目をうるおした。礼子もでてきて黙ってお辞儀をする。西田はたちながら、
「子宮脱ならなるたけ早いほうがえいでしょう。糟谷くん職務はだいじだ。ぼくが留守をしてあげるから、すぐと深川へでかけたまえ」
西田はこういい捨てて、細君の寝間へはいった。細君も同情深い西田の声を聞いてから、夢からさめたように正気づいた。そうしてはいってきた西田におきて礼儀をした。
「いま糟谷くんからかいつまんで聞きましたが、もうひとすじに思いつめんがようございますよ」
細君は、
「ありがとうございます」
と細い声でいってさんさんと泣くのである。
「それじゃ西田さんちょっといってくるから頼む」
と糟谷は唐紙の外から声をかけてでてしまった。
西田は細君に対し、外手町に家のあったこと、本所へ越してからの業務の方法、そのほかここの家賃のとどこおりまで弁済してあげるということまで話して、細君をなぐさめた。
子どもをりっぱにして自分がしあわせをしようと思うても、それはあてにならないから、なんでも人間のしあわせということは、自分にできることの上に求めねばならぬ。