Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しほんたいへいき
随筆 私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 私本太平記 (ずいひつ しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.947 Zeichen · 114 Bildschirme
その五
これが足利左兵衛督国朝で、世に“喜連川公方”などと呼ばれたものである。
表向き、徳川幕府は「礼ヲ以テ之ヲ遇ス」などと恩に着せたが、喜連川一万石も、じつのところ、実収高は五千石にみたなかった。そのくせ格式だけは高い。よけい辛かったわけである。
こんな由緒つきの小藩へ、熊本の大藩から養子入りした年少の護美氏が、辛抱出来なかったのは当然だ。そのうえ幕末維新の中央は若い夢をそそらずにいない。そこでこの若殿の養子さんは、ついに家臣の隙をうかがい、藩の小判をふところに、出奔してしまったのだ。まるで小説のような話がこのあとにもある。(三三・六・一)
その五
公休日は一日が定法だ。だのに私の“小説公休日”が二回にわたるなど、沙汰の限りである。読者のおゆるしを仰いでおく。
それというのも、こんどの旅行中、はからずも尊氏の末裔、足利惇氏氏に会ってしまったためである。半分は惇氏氏のせいだとしよう。大いに語らせねば読者も気がすむまい。
前回、話半分で終ったが、小判を持って養子先の足利藩を逃げ出した細川護美氏は、まだ十六、七の若殿なので、おそらく熊本の自藩へ一目散のつもりだったに違いない。