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Japanische Klassiker mit Furigana

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ずいひつ しほんたいへいき

随筆 私本太平記

吉川 英治

Lesen Sie 随筆 私本太平記 (ずいひつ しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.947 Zeichen · 114 Bildschirme

Aozora Bunko

その十一

淋しいがしかたがない。私は私本太平記でも書いて、私の中に人間懺悔を返しながら、それを雀供養の一つとしよう。そんなふうに考える。

後醍醐天皇が隠岐ノ島へ流される章にちかづいた。かねて隠岐一遊を、島の団体からすすめられているが、原稿も日々遅々だし、机忙は溜るばかりで、どうも今のとこ行けそうもない。ちょっと山陰、九州辺の南北朝史蹟だけでもと、この春は考えている。

いぜん史料の寄与やご助言をいただいているが、ご返事の怠りはゆるして欲しい。正直ゴルフにもほとんど出かけてない。陽気異変で春は早く来たが、筆は遅く、ここ少々尻痩せの私である。今日、窓外は春の雪に暮れた。めずらしく客は少なく、雀も見ない。(三四・三・三)

その十一

御成婚式も間近い。

四月は皇室の最上なおよろこびの月である。が、あいにくこの私本太平記のうえでは、六百二十年前の歴史の故事ではあるが、隠岐へ島流しとなる後醍醐天皇のみじめなくだりを次回から書かねばならない。

平和の真価は、戦争の悲惨を書くと滲み出てくる。今日の皇室の姿は、かつての天皇や皇子が践まれた茨を振りむいてみることで、そのご幸福さも一ばい切実に思われずにいられない。