Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しほんたいへいき
随筆 私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 私本太平記 (ずいひつ しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.947 Zeichen · 114 Bildschirme
その十四
藤夜叉が道誉に犯された場面のあとでは、いくつもの読者感想を拝見したが、その一つにこんなのがあった。
「――私は満十七歳の働く少年です、毎日鋳物工場での労働を終えたあとは、読書がいちばんの楽しみですが、きょうの藤夜叉と道誉の場面では、がっかりしました」と、痛烈にそこを批判し、また映画や諸雑誌のセックス風潮をあげて、じぶんたちは愚にされているようだと訴え「あなたもその波に乗って書くのかと裏切られた気がした」と、細かい文字が用箋八枚にもわたっていた。鋳物工場のつかれた夜間休息のまに、これだけ書くのもたいへんなことだと思った。そしてどうも、最近のジャーナリズム一般は、私も加えてだが、厚い深底部にあるこんな青少年を、ともすれば、見過っているか、忘れているのではないかとも思われた。(三四・六・一八)
その十四
帖をかえて、次回からを、
千早帖
としてゆきたい。
帖だの巻だのというこの古風なサブタイトルの手法は、日本の古典文学スタイルの特徴といっていい。たいへん思わせぶりなものだし、読者や筆者にあたまの整理と息抜きを与え、また後味の余韻をもたすなどの利便からまま現代の作家もよくこの手をつかう。