Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しほんたいへいき
随筆 私本太平記
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 私本太平記 (ずいひつ しほんたいへいき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 56.947 Zeichen · 114 Bildschirme
その九
文壇、各界いろんな顔が無慮六、七十名も集るので、浅間山麓の鳥類どもも顔マケの観がある。これがすまないと、軽井沢もほんとに静かな秋にならない。もちろん、運動会の中学生みたいなもので、年々、私の机なども、それからでないと真に灯下の秋が来ない気がする。(三三・九・七)
その九
まず、新年の賀を、おめでとう、と大方の読者へささげる。ここは理くつ抜きに。
元日はよいものと思ふ
なにもかも
社会的にも個々にも、なみなみならぬ去年であった。そして今年もと、覚悟はされるが、とにかく健康と平和があれば、その国もその人も、至上な幸福とせねばならない。いまの地球住民ではそれが最良級である。
そんな中で、はや一年。「私本太平記」などを悠々と書かせてもらい、また愛読を得たなど冥加にあまる。だが作家妄執とは、そんな気持の、もひとつの裏側のものである。今年もまた私はひたむきに書くだろう。その手初めに、正月から読まれる新読者のために、作品の骨子と概要だけを述べておきたい。
去年一年で、私は何を書いて来たろう。「あしかが帖」で尊氏の若い日の輪郭を。また「菊水帖」に入って、楠木正成とその郷土の人々を。