Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Lesen Sie ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.905 Zeichen · 262 Bildschirme
五 風の日
大井川の上には横雲が断続してたなびき、高空を巻雲が飛行する。四時すぎると赤石沢の奥に、雲塊が背に鈍く茜をうつし、しばらく沈痛な夕ばえの空を残す。大井川の谷は濃い陰影をふきあげ、赤石は沈み、沈む。
加速度の夕闇が四辺を閉ざす頃は、小屋に帰って、膝や顔を焦がしそうに、火と首引きする。そして物珍らしく山男に話しかける。彼も活発に応じる。口の重い男とはいえ、一日中数えるほどしか口をきかなかったあとだから……。
今宵も十六夜の月けざやか。赤石は早朝よりもさらに小さく屈まって見える。西風が又梢を鳴らし、小屋を揺りはじめる。
五 風の日
風は夜ふけから漸次激しくなった。眛爽、西南の尾根にさやぐ落木の木末の網目から、鋭い月光が風とともに射るように飛んでくる。そして超快晴の日が明ける。しかも凍みはかえって昨日ほどでなく、霜も無いから、身体はむしろ凌ぎよいけれど、仕事は風のためとかく落ちつかない。木立にからむ風の音にまじって、時々人声に似た怪しい叫びが聞えるようで、ハッとする。少年の頃よく見た古書の、木魅の姿を思い出す。実は山男がどこかで歌でもうたっていたのかもしれぬ。