Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるはいまつのどくはく

ある偃松の独白

中村 清太郎

Lesen Sie ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.905 Zeichen · 262 Bildschirme

Aozora Bunko

よほどしっかり岩間に根を食いこませ、腰にうんと力をこめて、その上うまくバランスをとって構えていないと、今度は積雪の重圧にヘシ折られるか、吹きあげる烈風にカッさらわれるか、そんな恐れが多分にあり――なかなかもって、傍で見るほど楽ではないのだ。

さっき岩向うの仲間どもが、なにを言うかと思ったら、

「どうだい肖像とは、おうら山吹だナァ」

「なにしろ小父さんは、齢に似あわず、様子がいいから……画にも描かれようってものさ、おれたちとはわけがちがうワ」

なんのかんのと、ひやかしおる。

「馬鹿を言え!」

俺はどなってやった。――冗談じゃない……様子なんていいか悪いか知ったことか。俺は何も見栄や酔狂で、こんな恰好をしているわけではないのだ。やかましく言うなら、自己保存の本能が、教える知恵……とでも呼ぶべきものの、なせる業だろう。誰だろうと、ここで生きようとする以上、こんな風になるより外あるまいではないか。ただしそこにあの画家が、美を認めたとすれば、俺はそれまで、とやかく言うつもりは毛頭ない――というより能力の外だが、何か空恐ろしいような感じがしないでもない。

いずれにしろ、お蔭で俺は、この通り長生きして、今ではこの界隈の仲間で、年頭らと立てられている。