Japanische Klassiker mit Furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Lesen Sie ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.905 Zeichen · 262 Bildschirme
五 別乾坤
俺たちにとって、何と心強い共鳴を呼ぶ声だろう。
五 別乾坤
ここでは、四季と言っても、一年の大半は冬の影が濃いのだから、これはずいぶん長いもので、その厳しさと言ったら、ああした山好きの小鳥たちすら、生得がかいの無い悲しさに、何と思っても凌ぎ切れぬ……とねをあげるほどだ。しかし生え抜きの山の子、われら偃松族にとっては、残りの半年にあたる夏の間の、あの激しい機能の営みで疲れきった心身に、たっぷり休養を与えてくれる、ありがたい時季なので、淋しいとか鬱陶しいとか言い条、久方ぶりの無為を楽しみながら、天上の水晶宮裏にうつらうつら……長夜の甘夢をむさぼる心地なんぞ、なかなかどうして、悪いものではない。ただしこの水晶宮の大観にいたっては、実のところ、残念ながら俺たちには、新雪と雪解、つまり短い春と秋の頃をのぞいては、もっぱら相棒の雷鳥さんの話に待つ外ないのだが、それこそ想像にもあまるすばらしさにちがいなく、そぞろ故松たちから伝えられた、祖先以来の語りつぎ――かの氷河時代の超絶景を、彷彿させる概がある。
それに引きかえ、一朝雪崩のドラの音に、われらの甘夢が破られるや否や、春、夏、秋……と四季の女神たちが、それこそ袖をつらね、踵を接いで、峯入りをされるのだから、目の廻るほどのいそがしさを味わうのだ。