Japanische Klassiker mit Furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Lesen Sie ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.905 Zeichen · 262 Bildschirme
夜も寝るひまなぞろくろくない。いとど短い山上の夏の夜を、いれ代ってお月様が、形を変じつつ、皓々と照り翔ける。まめな惑星が目じろぎもせず徘徊する。悠々、空を埋める恒星の大群、蜿蜒、天を貫く銀河の長流は、宇宙外の宇宙、超銀河系の星雲まで加えて、われらの葉尖きを、灼き爛らさんばかり、火花を散らして、軋りめぐる……。天地開闢をしのばせる、古くして新らしい、神秘の火花を――。
これら無限の天体が放射する、鋭い光芒や宇宙線の波動は、その本源の永遠性にあやかれとか、一種不可思議の精気を、われらが身うちにも、醸し出すもののようだ。そんな調子で、いくらか息が吐けるのは、雲や霧の被衣に包まれた時ぐらいのものだろう。従って、疲れもよほど大きいはずだが、極度の快よさと、忙わしさと、そしてこの天来の甘露の功力とが、それを物とも思わせないらしい。
同類の小灌木や草本たちも、もちろん大騒ぎだ。雪消おそしと、ういういしい嫩葉もろとも、おのおのしたくしてあった、色鮮かに、意匠もとりどりの、しかし揃って貴やかな花冠をかざし列ね、お日様をしたって、いじらしくも朝から晩まで……華奢な首筋がどうかなりはせぬかと、よそ目には案じられるほど、あの偉大な火球を追いつづける。