Japanische Klassiker mit Furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Lesen Sie ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.905 Zeichen · 262 Bildschirme
たまたま翌年が午年なので、新年の紙上に次の簡単な一文をのせた。
白馬岳の代馬(えと文)
午年の縁起を担ぐのではないが、一つ変った馬をひき出して見たい。それは雪と岩が、白馬岳の峯頭に浮彫りする黒鹿毛の逸物で、山名の因をなすものだ。
この山をよく人はハクバと呼ぶが、実はシロウマで、それも白ならぬ、代掻き馬の意味であることは、知る人も多かろう。だがその代馬が、どこに、どんな形で現われるかは、山岳人の間にも案外知られていないのは不思議だ。もっとも現地だとて、だれもが知っているわけではない。私は昨春古老に尋ねたり、説の異同正否を考えたり、相当苦心の末、ようやくその正体を見出した時は、年来の疑問も一時にとけ、想像以上のりっぱさに驚喜した。
この代馬は、何も物好きの見立てではなく、毎年五月末から六月初めの頃現われる所から、山ろくの農民が古来、稲作のための生きた暦として仰ぎ来たったものであり、わが祖先ののこした一つの特異な文化財と言えよう。
初夏の空に輝く山脈の主峯に、雪消の岩と偃松で黒々と描き出す奔馬の姿は、実に印象的で、おそらく雪形中の傑作であろう。しかもクラやハモ(頸輪)も備わり、古老の一人は、馬を追う人やひき綱まで指摘した。