Japanische Klassiker mit Furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Lesen Sie ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.905 Zeichen · 262 Bildschirme
朝陽は華やかに、上流の山坡を染めて、しずかに金色の楔を、谷間へと打込んでくるが、流水はわずかに上空の光りを浮かべて、まだ夜の名残りをとどめる紫ばんだ空気を、つんざきながら走っている。
温泉も、朝がいちばん清らかで、みずみずしい。そして肌ざわりが生ま生ましく、かど立って、刺戟が強い。それに湧き出たばかりの熱いのを、口ずけに飲むと、空になった胃の腑に、もろに突き通って、内外から湯の精気が、五体の隅々にまで沁み渡る。いかにも身体に利くような気がするけれど、それだけに疲れるから、うっかり長湯をしようものなら、一日じゅう、何かするのが臆劫になる。朝は浴客もいったいにもの静かだ。
湯の温度や量も、日によって幾分かずつ変化がある。それが天気に何か関係があるらしく、宿の人や浴客たちは、その湯加減から、自家流の一種の天気予報をやっていた。すなわち、湯がぬるくて少ないと、天気がつづくし、熱くて多い時は、天気が変る……といった具合だ。それが、「当らずといえども遠から」ぬ効果をあげているのは、おもしろいと思った。ちょっと不思議なようだが、これは予報というより、事実なので、私も少し注意して見たら、湯が熱くて量も多い時は、川の水かさも雨で高くなっているし、反対にぬるくて浅い時は、晴天つづきで谷水も減っている――そういう事に気がつい