Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

あるはいまつのどくはく

ある偃松の独白

中村 清太郎

Lesen Sie ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) von 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 132.905 Zeichen · 262 Bildschirme

Aozora Bunko

天地自然こそは、実に何の迷いもなく、何の拘わりもなく、おごそかに常住不断の進行を、進行しているけはいがある……

狭く仕切られた天の色が、日々に熱気を失って、冷やかに澄んだ藍色を帯びる。それを反映して、あらゆる物の影が、一様に冴えて、寒むざむしく顫える。いつとはなしに、山にまつわっていたうん気が、脱れているのに気づいて、心にうなずく。木の間が、ものさびしく透いて見え、帰って行く浴客の後ろ姿などが、以前より遠くまで眺められる。桂のまろ葉は、鮮かに黄に変じて、空の色よりも明るい。そして風もないのに、ハラハラと落葉する。山路は岩も隠れるまで、桂はもとより、もみじも待たで散り初める、種々のかえでや朴、橡、楢などのひろ葉で埋められてゆく。夏の間に、あの壮んな生の機能を充分に営みおわって、いまや大地に委ねた落葉には、いかにもしずかな悠安のすがたがある。露や水霜を結んだ、それら落葉の吐く、うす甘酸くて、何となく超人界的な思いを誘う香りが、木の間に漂い流れる。落葉は湯壺にも散り込む。そして湯上りの肌へ、まつわりついて離れないのもある。人けの絶えた湯に、独り静かに浸っている時など、ふいにポカン……と湯に飛び込むものがあって、ハッとする。