Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおとこのだらく
ある男の堕落
伊藤 野枝
Lesen Sie ある男の堕落 (あるおとこのだらく) von 伊藤 野枝 (いとうのえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.585 Zeichen · 27 Bildschirme
「よし、貴様のような奴は相手にはしない。来いっ! 署長に談判してやる!」
Oはいきなりその男の喉首をつかみました。
「何を乱暴な!」
と叫んだが、彼はもう抵抗し得ませんでした。あとの二人の奴は腑甲斐なく道の両側に人目を避けるように別れて、オドオドした様子をしてついてきました。
往来の人達は、この奇妙な光景をボンヤリして見ていました。大抵の人達は、今首をしめられて、引きずられてゆく巡査の顔を見知っているのです。
Yは真青な顔をしていました。Oに日本堤の警察に案内するようにといわれて、妙に臆したような表情をチラと見せて、ろくに口もきかずに歩きました。それでも途中で一二度知った人に訊かれると、
「なにね、彼奴が馬鹿だからね、これから警察へしょぴいて行ってとっちめるのさ。」
とちょっと得意らしく説明していました。日本堤署では、早いので署長は出ていませんでした。居合わせた警部は、引きずられてきた尾行の顔を見るとのぼせ上がってしまって、OやYのいうことには耳も貸さずに、のっけから検束するなどとわめき立てました。私はその間にそっと出て、近所で署長の家を訪ねた。すぐ分ったので、行くと署長はもう出かけようとしているところでした。