Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおとこのだらく
ある男の堕落
伊藤 野枝
Lesen Sie ある男の堕落 (あるおとこのだらく) von 伊藤 野枝 (いとうのえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.585 Zeichen · 27 Bildschirme
彼はそれを喜んで読むかと思いの外、彼は非常に怒りました。「講談本なんぞを入れて貰うと看守共が馬鹿にする」というのです。彼のこの子供らしい単純な見栄にはみんなただ笑うより仕方がありませんでした。そんなくらいなので彼の読み物をさがすのは、Gには大きな一つの重荷でした。獄中の同志に書物を差入れるということは、何でもない簡単なことのように見えて、実はこれほど厄介な骨の折れることはないのです。どうでもいい、ただ読むものを入れてやる、というのならばまだしもです。少しでもみになるように無駄をしないように、囚人としての心の環境から考えの中に入れてするのは本当に一仕事です。その骨の折れる差入れの仕事でも、Gは「これほど骨の折れることはない」とよくこぼしていました。
が、Yはいっこう無頓着で、いいたいだけのわがままを遠慮なく、というよりはむしろ彼の持ちまえのあまりな図々しさで押しつけました。彼は日頃から公言していたように、牢にはいれば、同志はどんなにしてでも彼の世話をしてもいいはずだという考えしか持っていなかったのです。彼は未決監にいる間、できるだけのわがままをしつづけました。