Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちょうふじん

お蝶夫人

三浦 環

Lesen Sie お蝶夫人 (おちょうふじん) von 三浦 環 (みうらたまき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.730 Zeichen · 242 Bildschirme

Aozora Bunko

当時女が自転車に乗るのは珍しく、殊に女学生で自転車に乗るのは私と、後で女の小学校の校長さんになった木内キヤウさん位だったので大変な評判で、自転車美人だなんて新聞は書きたてる、私の通る道にわざわざ見物に来る人がある、殊に上野の山下の三枚橋、あの日活館のあったところで、その昔佐倉義民伝の木内宗吾が駕籠訴訟をしたところですが、三枚橋の辺には大学生がわざわざ見物に来る騒ぎです。見物に来るうちはまだよかったのですが、だんだん自転車美人の評判が高くなるにつれて、付文をする者が出来て来たり、風雲堂という薬屋の息子さんは、私に恋わずらいをしてとうとう死んじまったとか、私がなんにも知らないのに、世間のうるさいったらお話にならないのです。そうかと思うと、「女のくせに生意気だ、闇の夜を気をつけろ」なんて脅し文句を私の袂に投げ入れる書生もありました。また上野の音楽学校の男生徒と、美術学校の生徒はとても茶目で、私のことを「タマちゃん、タマちゃん」といってひやかしているうちはよかったんですが、だんだん悪戯が嵩うじて、しまいには往来を横に一列になって通せんぼうをする、私がそれをよけて右へ行くと右へ、左へ行くと左へ立ちふさがって、とうとう上野の精養軒のわきの溝の中に、自転車ぐるみ私を落っことして手を叩いて大笑いするんです。