Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちょうふじん

お蝶夫人

三浦 環

Lesen Sie お蝶夫人 (おちょうふじん) von 三浦 環 (みうらたまき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.730 Zeichen · 242 Bildschirme

Aozora Bunko

船中で妙な癖でもつくとその方がよけいみっともない」

「いいえ、妙な癖なぞつけません。一日でも着馴らした方が良いと思いますのよ」

私は洋服を着ることを強く主張いたしましたところ、

「今から夫にさからうようでは、末恐ろしい」

と三浦はおこりました。私はそんな気で申したのではありませんでしたが、この船中の洋服事件が生まれて始めての夫婦喧嘩でした。

さて香港に着きましたところ、ペストが流行いたしておりましたので、同船の児玉さん、あの有名な児玉大将の息子さんはじめみなさん上陸なさいましたが、三浦も私もペストが恐いので上陸せず、広い食堂で二人きりで食事をいたしました。淋しい晩餐でした。

ポートサイドに着きますと、オーストリアの皇太子様が、セルビアの青年に殺されたというニュースを聞かされてびっくりいたしました。この前の大戦の前奏曲だったのです。ポートサイドでは、有名な鱈のお料理を御馳走になりましたがそのうまかったこと、鱈をトマトとオリーブオイルで煮たものですが、今でもそのおいしかったのが忘られません。

七月九日マルセイユに着き上陸しました。大きな馬が車を曵いて何台も何台も、とても数え切れないほど通ったのが強く印象に残っておりますが、その沢山な数よりも馬が大きいのでびっくりいたしました。