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Japanische Klassiker mit Furigana

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かげろうのにっき

かげろうの日記

堀 辰雄

Lesen Sie かげろうの日記 (かげろうのにっき) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.890 Zeichen · 60 Bildschirme

Aozora Bunko

「明日は物忌だから門を強く鎖しておけ」などとお言いつけになって入らっしゃるらしかった。私はもう物も言われない位、胸が沸き立つような気もちがしていると、あの方は道綱をお側に引きよせられて、そんな私の方をちらっと見やっては、何かひそひそと耳打ちしていらしっていた。「我慢をしておいで」なぞと囁いているのが、ふと私の耳にも入ったりする。しかし私はどうにもしようがなしに、黙ったまま向き合っていた。翌日も、一日中あの子をお側に置かれて、「おれの心もちはちっとも変らないのに、それを悪くばかりとるのだ」などとお聞かせになって入らっしゃるらしかった。

それから、どうした事やら、不思議なほどあの方は屡お見えになるようになった。この頃急に大人寂びてきたような道綱があの方のお心をも惹いたものと見える。それはあの方が何時になくいろいろとあの子の御面倒を見て下さって、今度の大嘗会には何か禄を給わらせよう、それから元服もさせようなどと、仰ゃり出しているのでも分かるのだった。私までも一と頃はいささか昔に返ったような気もちになりかけていた位だった。

が、道綱の元服もとどこおりなく果てたかと思うと、またしばらく例の御物忌とやらでお見えにならないようになった。