Japanische Klassiker mit Furigana
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こころ
こころ
Lesen Sie こころ von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.915 Zeichen · 322 Bildschirme
七
と父が聞いた。
「何にもしていないんです」と私が答えた。
私はとくの昔から先生の何もしていないという事を父にも母にも告げたつもりでいた。そうして父はたしかにそれを記憶しているはずであった。
「何もしていないというのは、またどういう訳かね。お前がそれほど尊敬するくらいな人なら何かやっていそうなものだがね」
父はこういって、私を諷した。父の考えでは、役に立つものは世の中へ出てみんな相当の地位を得て働いている。必竟やくざだから遊んでいるのだと結論しているらしかった。
「おれのような人間だって、月給こそ貰っちゃいないが、これでも遊んでばかりいるんじゃない」
父はこうもいった。私はそれでもまだ黙っていた。
「お前のいうような偉い方なら、きっと何か口を探して下さるよ。頼んでご覧なのかい」と母が聞いた。
「いいえ」と私は答えた。
「じゃ仕方がないじゃないか。なぜ頼まないんだい。手紙でも好いからお出しな」
「ええ」
私は生返事をして席を立った。
七
父は明らかに自分の病気を恐れていた。しかし医者の来るたびに蒼蠅い質問を掛けて相手を困らす質でもなかった。医者の方でもまた遠慮して何ともいわなかった。