Japanische Klassiker mit Furigana
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こころ
こころ
Lesen Sie こころ von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.915 Zeichen · 322 Bildschirme
私は書き上げた自分の論文に対して充分の自信と満足をもっていた。私は先生の前で、しきりにその内容を喋々した。先生はいつもの調子で、「なるほど」とか、「そうですか」とかいってくれたが、それ以上の批評は少しも加えなかった。私は物足りないというよりも、聊か拍子抜けの気味であった。それでもその日私の気力は、因循らしく見える先生の態度に逆襲を試みるほどに生々していた。私は青く蘇生ろうとする大きな自然の中に、先生を誘い出そうとした。
「先生どこかへ散歩しましょう。外へ出ると大変好い心持です」
「どこへ」
私はどこでも構わなかった。ただ先生を伴れて郊外へ出たかった。
一時間の後、先生と私は目的どおり市を離れて、村とも町とも区別の付かない静かな所を宛もなく歩いた。私はかなめの垣から若い柔らかい葉をぎ取って芝笛を鳴らした。ある鹿児島人を友達にもって、その人の真似をしつつ自然に習い覚えた私は、この芝笛というものを鳴らす事が上手であった。私が得意にそれを吹きつづけると、先生は知らん顔をしてよそを向いて歩いた。
やがて若葉に鎖ざされたように蓊欝した小高い一構えの下に細い路が開けた。