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Japanische Klassiker mit Furigana

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こころ

こころ

夏目 漱石

Lesen Sie こころ von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.915 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

三十四

「教えて上げるほどないからでしょう」

「でもどのくらいあったら先生のようにしていられるか、宅へ帰って一つ父に談判する時の参考にしますから聞かして下さい」

先生は庭の方を向いて、澄まして烟草を吹かしていた。相手は自然奥さんでなければならなかった。

「どのくらいってほどありゃしませんわ。まあこうしてどうかこうか暮してゆかれるだけよ、あなた。――そりゃどうでも宜いとして、あなたはこれから何か為さらなくっちゃ本当にいけませんよ。先生のようにごろごろばかりしていちゃ……」

「ごろごろばかりしていやしないさ」

先生はちょっと顔だけ向け直して、奥さんの言葉を否定した。

三十四

私はその夜十時過ぎに先生の家を辞した。二、三日うちに帰国するはずになっていたので、座を立つ前に私はちょっと暇乞いの言葉を述べた。

「また当分お目にかかれませんから」

「九月には出ていらっしゃるんでしょうね」

私はもう卒業したのだから、必ず九月に出て来る必要もなかった。しかし暑い盛りの八月を東京まで来て送ろうとも考えていなかった。私には位置を求めるための貴重な時間というものがなかった。

「まあ九月頃になるでしょう」