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Japanische Klassiker mit Furigana

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あわもりものがたり

『たぬき汁』以後

佐藤 垢石

Lesen Sie 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.470 Zeichen · 244 Bildschirme

Aozora Bunko

味噌は正田醸造の特製とはいえ素晴らしい鹿汁である。まるで、臭みがない。

鹿の肉には、一種の臭みがあるのが普通である。だが、寒中に獲れた鹿から腸を去り皮を剥ぎ、枝肉として一夜積雪の土に埋めて置くと、あの臭みはあとかたもなく散じてしまうといわれているが、この鹿肉もそういう手当てをしたに違いないと思う。それに葱と牛蒡とを加えたのが役に立ち、しかもほんとうの上味噌が用いてある。

殊に、鹿は日光の二荒山、赤薙山、太郎山、明神岳あたりを中心とした連山で晩秋の交尾期が去って雪を迎えた頃とれたものを随一と伝えられたから、私は正に鹿の絶醤に恵まれたわけである。

今年は、運が向いてくるかも知れぬ。瑞兆といってよかろう。

次に、焼肉が出た。これはやわらかい上に、味品秀調である。歯の悪い私などでも、顎にさまで力を入れぬでもよい。啖うて舌に載せると、溶けてそのまま咽へ落ちて行く。

羊や猪や、牛や豚、狐の焼肉など及びもつかない。露国の探検家アルセニエフの烏蘇里紀行を読むと、彼が沿海洲のシホテアリン山脈の奥で、しばしば烏蘇里鹿を撃ち、それを焼いて食うところを描いている。私はそれを読みながら、舌に唾液を絡ませて、アルセニエフの口中に沁みわたる美味を想像していたのであるが、今回ははからずも老友のおかげで麋鹿の焙熱にめぐり会ったわけである