Japanische Klassiker mit Furigana
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つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
Lesen Sie つゆのあとさき von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.725 Zeichen · 148 Bildschirme
「でも、半年たてばお帰りになるんでしょう。」
「いずれ帰るだろう。しかし恐らく僕の家へは帰って来ないだろう。」
「先生。僕も実はそういう気がしたんです。一種の暗示ですね。」
「おい。村岡。君はどうして彼女のツバメにならなかったんだ。おれには能くわかっていた。彼女は君のような感傷的な比較的純情な青年を要求していたんだぜ。」
村岡はまだ三十にはならない青年なので、顔を真赤にして、「先生。そんな冗談を。うそですよ。そんな事は。」
「ははははは。帰って来てからでも遅くはあるまい。」と進は始めて面白そうに笑った。
改札口へ来かかると俄に混雑する人の往来に、談話もそのまま、三人は停車場の外へ出た。吹きすさむ梅雨晴の夜風は肌寒いほど冷である。
「おい。野口。まだ早いから活動でも見て帰るがいい。ここに招待券があるから。」と進は書生を遠ざけてから、村岡と連立って丸ビル下の往来をぶらぶら当てもなく歩いて行く。村岡は突然思出したように、
「先生。ドンフワンはあれッきりなんですか。」
「うむ。すこし考えていることもあるから。」
「どんな事です。」
「さア、別にまだはっきりした考もないんだがね。