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Japanische Klassiker mit Furigana

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つゆのあとさき

つゆのあとさき

永井 荷風

Lesen Sie つゆのあとさき von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.725 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「じゃ、おじさんもそんな事を考えた事があって。先に遊んでいる時分……。」

突然土手の下から汽車の響と共に石炭の烟が向の見えないほど舞上って来るのに、君江は川島の返事を聞く間もなく袂に顔を蔽いながら立上った。川島もつづいて立上り、

「そろそろ出掛けよう。差閊がなければ番地だけでも教えて置いてもらおうかね。」

「市ヶ谷本村町丸◯番地、亀崎ちか方ですわ。いつでも正午時分、一時頃までなら家にいます。おじさんは今どちら。」

「おれか、おれはまア……その中きまったら知らせよう。」

公園の小径は一筋しかないので、すぐさま新見附へ出て知らず知らず堀端の電車通へ来た。君江は市ヶ谷までは停留場一ツの道程なので、川島が電車に乗るのを見送ってから、ぶらぶら歩いて帰ろうとそのまま停留場に立留っていると、川島はどっちの方角へ行こうとするのやら、二、三度電車が停っても一向乗ろうとする様子もない。話も途絶えたまま、またもや並んで歩むともなく歩みを運ぶと、一歩一歩市ヶ谷見附が近くなって来る。

「おじさん。もうすぐそこだから、ちょっと寄っていらっしゃいよ。」と言った。君江はもし田舎へでも帰るようになれば、いつまた逢うかわからない人だと思うので、何となく心淋しい気もするし、またあの時分いろいろ世話になった返礼に、出来ることならむかしの話でもして慰め