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Japanische Klassiker mit Furigana

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つゆのあとさき

つゆのあとさき

永井 荷風

Lesen Sie つゆのあとさき von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.725 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

かまわずに置いてくれ。お客様にされちゃアかえってこまる。」

「じゃ、このままにして置きましょう。御厄介になっている時分、着物一つ畳んだ事がないって能くお京さんに言われましたわね。だらしがないのはその時分から、おじさんも御承知なんですから。」と鏡台の前にあったメリンスの座布団を裏返しにして薦めた。

おばさんが麦酒と蟹の鑵詰に漬物を添えて黙って梯子段の上の板の間に置いて行く。その物音に君江は立って座敷へ持運び、「おじさん。お肴なら何でも御馳走しますわ。表の家が肴屋ですから窓から呼べば何でも持って来ます。」

川島は君江のついだビールを一息にコップ一杯飲干したまま、何ともいわず、明放した窓から見える外の方へ気をくばっている様子に、君江は一度懲役に行くとこうまで世間へ気をかねるようになるものかと、気がついて見ればいよいよ気の毒になって、

「わたし、今日起きたせいだか、暑いくせに何だか風が寒いような気がするのよ。」とその実蒸暑くてならないのに、窓の障子を半ばしめてしまった。

川島は二杯目のビールに忽ち目の縁を赤くして、「世の中は何といってもやっぱり酒と女だな。おれももう一度奮発して働いて見ようかと思うんだが、ひびたけの入った身体じゃどうする事もできない。