Japanische Klassiker mit Furigana
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つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
Lesen Sie つゆのあとさき von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.725 Zeichen · 148 Bildschirme
」
「家にもこのあいだまで一人変ったのがいたんだけれど、誰がいいか知ら。」
「姐さん、ほら。桐花家さんの。評判じゃないこと。」
「ウム。京葉さん。」と年増は膝を叩いて、「あの人ならむしろダンサー以上。逆立くらいやり兼ねないわ。」
「その代り大変な御面相だろう。」
「ところが綺麗で、色っぽいのよ。何しろこの土地で一番いそがしい人ですもの。」
「いやに宣伝するなア。いくらか貰っているな。とにかく呼べ呼べ。」と駒田はすこし酔い始めたらしく大分元気づいて来たが、清岡は桐花家京葉の名を聞くと共に、去年残暑の頃の一件を想起して厭な心持がしたが、この場合よせとも言えないので、素知らぬ顔をしていると、年増の芸者は座談に興を添えるつもりで、
「わたしだって、もう三、四ツ年がわかければ芸者なんぞやめて銀座へ押出しますわ。女給さんの方がとにかく表面だけは素人なんですからね。何をするにも胡麻化しがききますよ。わたし、つくづくそう思っているのよ。わたしの家のすぐ隣が待合さんなのよ。その家へいろいろなお客さまを連れて来る女給さんがあるのよ。家が建込んでいるから、窓から首を出せば障子一重で、話はみんな聞えてしまうのよ。