Japanische Klassiker mit Furigana
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つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
Lesen Sie つゆのあとさき von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.725 Zeichen · 148 Bildschirme
」
「将来は、僕の方だってわからない。また一人になるかも知れないし……。」
「そうですか。風雲頗急ですな。」
「イヤ、まだそれほどの事でもないんだがね。どういうもんだか、家へ帰ると陰気になっていけない。」
清岡は問われるままに、家の事情を委しく語りたいと思いながら、さてどういう風に、何からはなし出したらいいものかと考えながら歩いて行く中、忽ち富士見町の電車停留場に来てしまった。そもそも清岡には最初から鶴子を正妻に迎えるほどの堅い決心があったわけではない。唯折々人目を忍んで逢瀬をたのしむくらいに留めて置くつもりであったが、女の方が非常にまじめで、事件が案外重大になってしまったので、どうする訳にも行かず、幸女がその兄から金を貰ったのを聞いて鎌倉に家を借りて同棲したような次第であった。勿論人の妻として才色両つながら非の打ちどころのない事は能く承知しているが、その後清岡は月日の立つにつれて自分の品行の修らないところから、何となく面伏な気がしだして、冗談一ツ言うにも気をつけねばならぬような心持がして窮屈でならなくなった。それがため、一日に一度はどうしてもカッフェーか待合に行って女給か芸者を相手に下らない事を言いながら酒を飲まなければ心淋しくてならないような習慣になった。