Japanische Klassiker mit Furigana
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イエスでん
イエス伝
矢内原 忠雄
Lesen Sie イエス伝 (イエスでん) von 矢内原 忠雄 (やないはらただお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 220.119 Zeichen · 436 Bildschirme
一 湖上の突風
イエスは舟の上から陸上の聴衆に向かって、譬話を三つたてつづけにせられました。譬話といえばのん気そうに聞こえますが、事実は全く反対で、譬話の形でなければ自由にお話のできないほどに客観的情勢は悪化していたのです。それに舟から陸上に向かって語られたのですから、さだめし大きい声を出されたことでしょう。心身疲労しきったイエス様はその日も夕方になったころ、「さあ彼岸に渡ろう」と言い出されました(四の三五)。群衆から遠く離れて休養を欲せられたのであります。漁夫上がりの弟子たちはお手の物の橈を取って、そのまま沖へ漕ぎ出しました。これを見た群衆はあわてて、我も我もとその辺の舟に打ち乗り、あとを追ってきました。先生の疲労のことなどかまわずに、少しでもたくさんお話を聞き出そう、少しでもたくさん病を癒してもらおうという、身がってな乞食のような根性の輩であります。疲れきったイエス様は艫の方で舟夫の座布団を枕にゴロ寝をせられ、すぐに熟睡に落ち給うた。
すると、一陣の冷気が湖面をかすめたかと思うまに、ヘルモン颪の突風がにわかに浪を怒らせ、舟は木の葉のごとくもまれて沈むばかりとなりました。