Japanische Klassiker mit Furigana
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ドナウげんりゅうこう
ドナウ源流行
斎藤 茂吉
Lesen Sie ドナウ源流行 (ドナウげんりゅうこう) von 斎藤 茂吉 (さいとうもきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.565 Zeichen · 44 Bildschirme
そこで記者は、『御国のいまの天皇の御名前は何と仰せられますか』と問うた。するとその沈黙の留学生は、『私どもは決して天皇の御名前を申あげることはありません』と答えた。そして、『それは畏多いことだからです』と付加えた。そういう話であるが、その沈黙の留学生の言葉を記者は今おもい起して、亜米利加問題と或る関連を有たせたいのであった。そして、その記者は、日本の国民は何時でも天皇のために命を捨てるものだと堅く信じて居た。そうして、“schweigsame Japaner”などといって、底気味の悪い国民だということを其処に暗指していた。
僕はその記事を読んで心中秘かに微笑した。そして、その沈黙の留学生は、天皇の御名を睦仁と申し奉ることを知らなかったのだろうと思ったのである。併し僕はこの記事を読んでから、眼を瞑ってしばらく思に耽っていた。
そのころの独逸の漫画雑誌には又、こんなのがあった。絹帽に星のついたのを冠っている老翁の寝部屋に一つの尾長猿が這入って来ているところが先ず画いてある。老翁が猿の尾をつかんで、“Der verdammte Japs hat nichts bei mir zu suchen!”といっている。