Japanische Klassiker mit Furigana
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フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
Lesen Sie フレップ・トリップ von 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.698 Zeichen · 293 Bildschirme
海上の饒舌
すばらしい、すばらしい。
心は安く、気はかろし、
揺れ揺れ、帆綱よ、空高く……
海上の饒舌
銀の雄弁といいたいが、これは銀鍍金の饒舌だ。
またなんと恐ろしくしゃべる、ちょっぴり髭の赤いぺらぺらの舌であろう。
私は呆れて見入っているのみだ。
時は八月の九日午後二時――三時、処は横浜を北へ去る少くとも五百海浬の海上、今やまさに津軽海峡の中間を進行しつつある観光船高麗丸の後甲板。
演者は誰ともわからぬ。
俗間に濶歩するお一二の学生帽に紅の帯紙を貼りつけ、黒い髭をぴんと生やし、詰襟の黒服の右肩には緒縄か何かのまがいの金モウルを巻きつけ、両の筒袖にはまた銀星をちりばめた幅広の紅紙を巻き、腰にはブリッキの手製のサアベルをさえ吊るし、さて、そのサアベルの柄頭に左の手を後へ廻り気味に当て、腰をかまえ、りゅうと胸を反らすと、右の手で黒骨の金に大きな朱の日の丸の玩具の軍扇をサッと拡げて、口元近く煽いだり裏返したり、上げたり下げたり、時には「えへん。」と声づくろいをしてからに、得意気に、やや諛って、ええ、さてと、帽子の鍔を一つ叩くと、
まず、初めは、「近頃流行の安来節」と手前口上で、一歩退ると、えへんとやったものだ。