Japanische Klassiker mit Furigana
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フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
Lesen Sie フレップ・トリップ von 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.698 Zeichen · 293 Bildschirme
私は山荘の住人で、平生竹や草や昆虫ばかりの中に立ち交っているので、身のまわりなぞは清潔にはしているが、少くとも野趣そのままにちがいなかった。それがアルパカの黒背広に黒の小さな鞄を肩から引き掛けて、「さようなら、行ってまいります。」だから、それは瀟洒な、(色が黒くて肥ってはいるが)さぞ好紳士に見えたことだろう。
ましてや、誰よりも私のこの長旅行を喜んでくだすったのは私の両親であった。その前夜には、二人の弟もその妻たちも妹もそろって大森の両親のもとに集った。そうして一同が私のために盛んに杯をあげてくれた。友人としては私のいわゆる隣国の王と称する(それは童話国の王だからだ。)「赤い鳥」の鈴木の三重吉が、それこそ上機嫌でぴちぴちして、「ええのう、ええのう。」で意気が昂ったすえには、それはまことに枯淡閑寂な鰌すくいを踊りぬいて、赤い農民美術の木の盆と共に危くひっくり返りそうになったほどだ。それから私は両親の寝床の間にもぐりこんで、長い白髯を引っ張るやら、皺くちゃの乳房にかじりつくやら、ひとしきり困らしていたようだが、いつの間にかぐっすりと眠りこけてしまったらしいのだ。