Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
Lesen Sie フレップ・トリップ von 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.698 Zeichen · 293 Bildschirme
「おおい、おおい。」
おおい、おおいと、海豹も
海のなかから呼んでます。
どうせ、薄雲、北の海、
おおいおおいで日が暮れる。
*
とうとう日が暮れてしまった。
いかにも何かしら物寂しい風と煙である。色と響である。光のない上の世界と下の世界、その間を私たちの高麗丸のスクリュウが響く。機関が熱る。帆綱が唸る。通風筒の耳の孔が僅かに残照の紅みを反射する。
あ、書くのを忘れた。あの後、私は専用の雪白の湯槽の中に長々と仰向きになった私自身であった。船中でも入浴ほど心の安まるものはない。私は湯にひたり、薄紅い角の石鹸をいつまでも私の両掌の中に弄んでいた。なんと温かな、いい匂であろう。私はまた蓮の実型の撒水器の下に立って、頭からさんさんと水を浴びた。新しい浴衣の下に、改めて薄いメリヤスの襯衣を着こんだのはそれからであった。思いなしか、ひえびえとした気流が昨日とは何か変って感じられたものだ。
私は船室の前に出て、空いていた籐椅子の一つに凭れて見た。一列にみんなが並んで、誰もが蒼茫と暮れてゆく北海の薄明りを眺めていた。全く物寂しい風と煙であったのだ。
フネガデルデルカラフトヘ