Japanische Klassiker mit Furigana
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うえすぎけんしん
上杉謙信
吉川 英治
Lesen Sie 上杉謙信 (うえすぎけんしん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.102 Zeichen · 256 Bildschirme
傷軍の将は母心に似る
敵は、その厚い集形に似合わず、永井、鬼小島、竹俣などの奮迅する前から、さっと、影を散らした。
二、三の影は、猛然、槍をつけ、太刀をかぶって、迫ったかに見えたが、謙信のまわりには、殆ど、越後勢のなかでも立ち優れた旗本ばかりいたのである。
ものの数ではない。その太刀やその長巻の大きな刃は、当るものを乱離と払いながら、
「おうっいッ」
「おういっ」
と、互いに始終呼びかわしていた。
わずか十人あまりの味方である。分散しては不利だし、また、主君謙信の楯となる形を崩すまいためもあった。
謙信はもう馬上にある。
そして、宇野左馬介と、千坂内膳がその口輪を把って走っていた。あとを従いて、稲葉彦六、和田兵部、岩井藤四郎などが駆けつづき、近づく敵を斬っては駆け、また踏み止まっては殿していた。
傷軍の将は母心に似る
犀川の岸まで謙信は一気に馬を跳ばして来た。
つい一刻まえには、単身、甲軍の本営を、その馬蹄に懸けちらし、信玄の頭上に、一閃光を下した彼が、いまは身を退くに、何の歯がみもためらいもしていない。淡々たるすがたである。
「待て待て、千坂」
内膳がすぐ彼の駒を流れに曳き入れて、河を渡ろうとするのを拒んで謙信はふたたびそこに駒を立てていた。