Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

Lesen Sie 上杉謙信 (うえすぎけんしん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.102 Zeichen · 256 Bildschirme

Aozora Bunko

歌ごころ

「いやいや、徒然のまま、ほんの慰みの書を手にしたまで」

「和歌のお書物のようですが」

「近衛前嗣卿から贈られた古今です。みずから和歌を詠もうなどとは思わぬが、兵馬倥偬のあいだにも、歌心は有りたく思う」

「歌心と仰せられますと」

「さて、どういうてよいか。……大和心と申さばややそれに似かよう気もする。もっと小さくいうならば、剛に対する柔、殺に対する愛、刹那に対する悠久、動に対する静」

「すこし分りかけました」

「年々の合戦、日々も戦い。自然心は一途となる。しかしこの戦国の果てなき末を思うと、たとえば長途を行くが如く、高き山へ登るがごとく、呼吸の調べが大事と思う。吐く息、吸う息、そして長きを保ち、乱れを知らぬ呼吸。つくづく思う。その大事をな」

「きのうは、単騎、信玄の中軍へ馳せ入られ、きょうは、静夜に、そのようなお考えを抱かれますか」

「たとえば、琴の絃も、懸けたままにしておいては、音がゆるむ。弓は、射るときのほかは、弦を外しておくものぞ」

「外せば、外したまま懸けるを忘れ、懸ければ外すことをつい忘れ。なかなかその心機を転じることが、われらには難しゅうござりまする」

「されば、凡夫われらには、暁けては、兵馬を見、燈しては書に親しみ、血腥い中にあるほど、歌心も、欲しいとするのじゃ。