Japanische Klassiker mit Furigana
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うえすぎけんしん
上杉謙信
吉川 英治
Lesen Sie 上杉謙信 (うえすぎけんしん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.102 Zeichen · 256 Bildschirme
応接にいとまがなかった。八面六臂を相手にしているここちがする。そこで四隣の国々では彼をさして信玄と呼ぶよりも、
(甲州の足長どの)
などと称んでいた。以て、彼の棒道が、いかに非常のときにものをいって、その電撃ぶりと共に、敵対国にとっては、苦手なものであるかという察しもつく。
総勢二万余という大軍が、そこを行く日は壮観にちがいなかった。八月十九日の朝すでに、八ヶ岳のふもとを、大門峠のほうへ向って、士馬精鋭の激流は急ぎに急いでいたのである。
「道鬼、道鬼」
と、武田典厩信繁はうしろを向いて馬上から呼んだ。
信繁は、信玄の弟だ。中軍二十一流の旗の下に、信玄の嫡子の太郎義信などの一族とともに進んでいた。
「お呼びでしたか」
答えたのは山本勘介、入道して道鬼と号している謀臣のひとりである。法師首に漆黒のかぶとを頂き、頬当の間から白い眉毛を植えたように見せていた。年齢は六十を越えている。
「天気はどうだな、天気は。……そちは気象をよく見るが、この空あいは、四、五日はまだ持ちそうか」
「晴雨のおたずねですか」
勘介は、空をあおいで、入念に眼もとを顰めていたが、
「この雲の迅さ。