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Japanische Klassiker mit Furigana

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うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

Lesen Sie 上杉謙信 (うえすぎけんしん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.102 Zeichen · 256 Bildschirme

Aozora Bunko

この日も、帷幕のうちの信玄は、殆ど、床几に懸りきったまま、敵の妻女山を前に、終日黙想していた。

「……?」

彼がきのうから抱き通している疑問はなお解決せぬ面持である。すなわち妻女山にある敵将謙信の心だ、その意志だ、またその変であり、信念である。

「彼、そも、如何なる鬼謀神算があって、かかる無謀、かかる妄挙、かかる不敵を、われに示すか」

と、怪訝っている信玄であった。

鳥刺のもちに絡められた鳥のように、彼の心労はなおかざるを得ない。床几にかまえて、こう泰然とはしているものの、その実、きのう以来、彼の出した幾つかの指令によって、この本陣から別れ去った分隊は、敵の東北へ迂回して、屋代近傍に出たり、北国街道との聯絡路を遮断してみたり、更に、上杉方が唯一の助け城と恃んでいる長野村近傍の小柴にある旭城の味方とのあいだを、真二つに断ち切るような勢いを示して、こう布陣を押出して見せているのに――抑、戦う意志は無いのか、妻女山の無表情は、依然として、きのうも今日も、無表情のままなのである。

いざと、白刃の真剣勝負を約して、起ち上がってみると、相手は何の身がまえもせず、こちらの剣の鍔下まで、ただ歩き込んで来たともいえるような――上杉謙信の態度といえる。