Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

Lesen Sie 上杉謙信 (うえすぎけんしん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.102 Zeichen · 256 Bildschirme

Aozora Bunko

虚勢らしい物々しさなども感じられない。

しかも、百坪ほどな幕囲いの周りは、きれいに箒目さえ立っていた。まるで隠者の棲む山中の閑居にも似ている。きれいに掃かれた土の上には松落葉がこぼれていた。

ここに謙信が陣したのは十六日頃、そしてきょうは二十八日だった。そのあいだには、雨も降り風も吹いた。従って雨露を凌ぐに足るほどな仮屋の屋根も囲いのうちには見える、杉皮、檜皮などでそれを葺いてあった。

「お使者どの。では、われらはここで退がり申す。あとは使者迎えの御案内について参られい。すぐそれに見ゆるが、謙信公のお在であるお座所でござれば」

弥太郎たちは、役継ぎを済ませると、麓のほうへ降りて行った。――当然、伝右衛門の身は、和田喜兵衛の手にうつり喜兵衛は彼を導いて、幕露地のあいだを幾筋となく曲って行った。

「お控えを」

と、促されて、使者の伝右衛門は、いよいよ眼のまえの薄い布一重の向うに謙信が居ることを知った。

与えられた楯の上に、彼はしずかに坐った。楯は陣中の敷物であり、座を取る場合は武者坐りであった。いわゆる胡坐を組むのである。

「…………」

正視している目の前の幕が音もなく取払われた。