Japanische Klassiker mit Furigana
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
Lesen Sie 久生十蘭短篇選 (ぼしぞう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 48.344 Zeichen · 96 Bildschirme
婦警が迎いにきて、いつもの刑事部屋へ連れて行った。板土間のむこうの、一段高い畳の敷いたところにヨハネという綽名のある教師がいた。沖縄人で、サイパンにいるときは砂糖黍畑の監督だった。太郎が膝を折って坐ると、ヨハネはいつもの調子でネチネチとやりだした。太郎は神妙に頭を垂れたまま、板土間の机で書類を書いている警官の腰の拳銃を横眼でながめていた。
「あのピストルとおなじピストルだ」
洞窟にいるとき、海軍の若い少尉が胴輪のついた重い拳銃を貸してくれたっけ。
「お前は女の子のセーラー服を着て、銀座で花売りをしていたそうだ」
とヨハネがいった。
「大当り」
と太郎は心のなかでつぶやいた。ヨハネでも、やはり言うときは言うんだな。女の子に化けたのは、たった一度だけだったのに、いったい誰から聞いたんだろう。あのときの婦警かしら。セーラー服を借りた、二年A組のヨナ子がしゃべったのかもしれない。
「お前は、他人の金で勉強するのが嫌になった。それで、自分で学費を稼ぎだそうと思ったんだね。先生は、お前の自主性にたいして敬意をはらうが、花売りをすることには、賛成しない」
「外れ」
と太郎はまたつぶやいた。