Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いりえのほとり

入江のほとり

正宗 白鳥

Lesen Sie 入江のほとり (いりえのほとり) von 正宗 白鳥 (まさむねはくちょう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.430 Zeichen · 50 Bildschirme

Aozora Bunko

「僕は東京の下宿にいた時には、五燭の球を外して、二十五燭のを使ってたよ。そうすると昼のように明るかった。こっちでもそうするといい。一つで家じゅう明るくならあ。そして長い紐で八方へ引張るさ」

「そんなことができるんかい。電灯も村へ来りゃまるで断るわけにゃ行くまいから、まあ義理に一つだけはつけることにしようが、畢竟無用の事じゃ」と、老父は言った。

「しかし、皆な電灯にすると、手数が掛らんし、火事の危険も少うなってようございますぜ」と次男の才次はそう言って、少くも二つは引かなきゃなるまいと言張った。そして、博覧会見物に行った際に見た東京のイルミネーションの美しさを語った。良吉もそれに相槌打った。

「夜も昼のようだ」

平凡で簡単なこの言葉ほど、都会を知らぬ者の心に都会の美しい光景を活々と描かす言葉はなかった。

が、辰男はこんな話にすこしも心を唆られないで、例のとおり黙々としていたが、ただひそかにイルミネーションという洋語の綴りや訳語を考えこんだ。そして、食事が終ると、すぐに二階へ上って、自分のテーブルに寄って、しきりに英和辞書の頁をめくった。かの字を索り当てるまでにはよほどの時間を費した。