Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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げんばくししゅう

原爆詩集

峠 三吉

Lesen Sie 原爆詩集 (げんばくししゅう) von 峠 三吉 (とうげさんきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.927 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

その日はいつか

1

戦争を厭いながらたたずむ

すべての優しい人々の涙腺を

死の烙印をせおうあなたの背中で塞ぎ

おずおずとたれたその手を

あなたの赤むけの両掌で

しっかりと握りあわせるのは

さあ

いまでもおそくはない

その日はいつか

1

熱い瓦礫と、崩れたビルに

埋められた道が三方から集り

銅線のもつれる黒焦の電車をころがして交叉する

広島の中心、ここ紙屋町広場の一隅に

かたづけ残されころがった 君よ、

音といっては一かけらの瓦にまでひび入るような暑さの気配

動くものといっては眼のくらむ八月空に

かすれてあがる煙

あとは脳裏を灼いてすべて死滅したような虚しさのなか

君は 少女らしく腰をくの字にまげ

小鳥のように両手で大地にしがみつき

半ば伏さって死んでいる、

裸になった赤むけの屍体ばかりだったのに

どうしたわけか君だけは衣服をつけ

靴も片方はいている、

少し煤けた片頬に髪もふさふさして

爛れたあとも血のいろも見えぬが

スカート風のもんぺのうしろだけが

すっぽり焼けぬけ

尻がまるく現れ

死のくるしみが押し出した少しの便が

ひからびてついていて

影一つないまひるの日ざしが照し出している、

2

君のうちは宇品町