Japanische Klassiker mit Furigana
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げんばくししゅう
原爆詩集
峠 三吉
Lesen Sie 原爆詩集 (げんばくししゅう) von 峠 三吉 (とうげさんきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.927 Zeichen · 43 Bildschirme
呼びかけ
声のない炎がつぎつぎと世界に拡がる
ロンドンの中に燃えさかるヒロシマ
ニューヨークの中に爆発するヒロシマ
モスクワの中に透きとおって灼熱するヒロシマ
世界に瀰漫する声のない踊り 姿態の憤怒
ぼくらはもうぼくら自体 景観を焼きつくす炎
森林のように 火泥のように
地球を蔽いつくす炎だ 熱だ
そして更に煉られる原子爆殺のたくらみを
圧殺する火塊だ 狂気だ
呼びかけ
いまでもおそくはない
あなたのほんとうの力をふるい起すのはおそくはない
あの日、網膜を灼く閃光につらぬかれた心の傷手から
したたりやまぬ涙をあなたがもつなら
いまもその裂目から どくどくと戦争を呪う血膿をしたたらせる
ひろしまの体臭をあなたがもつなら
焔の迫ったおも屋の下から
両手を出してもがく妹を捨て
焦げた衣服のきれはしで恥部をおおうこともなく
赤むけの両腕をむねにたらし
火をふくんだ裸足でよろよろと
照り返す瓦礫の沙漠を
なぐさめられることのない旅にさまよい出た
ほんとうのあなたが
その異形の腕をたかくさしのべ
おなじ多くの腕とともに
また墜ちかかろうとする
呪いの太陽を支えるのは
いまからでもおそくはない