Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(三)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.558 Zeichen · 480 Bildschirme
やけにそんなに急がなくともいいじゃござんせんか! 今夜ばかりは、いやがらせをしないでおくんなさい! え! だんな!」
「…………」
「ね! ちょいと! 意地曲がりだな。どこへいったい行くんですかよ! ねらわれているな、あっしなんだ。だんなは草香流をお持ちだからいいかもしれねえが、おらがの十手はときどきさびを吹いてものをいわなくなるんですよ。ね! ちょいと!」
「…………」
「やりきれねえな。今夜は別なんだ。黙ってりゃ、いまにもねらわれそうで気味がわりいんだから、子分がかわいけりゃ人助けだと思って、なんとかうそにも景気をつけておくんなさいよ」
だが、もとより返事はないのです。――季節はちょうどまた花どきの宵ざかり。それゆえにこそ、花のたよりも上野、品川、道灌山からとうに八百八町を訪れつくして、夜桜探りの行きか帰りか、浮かれ歩く人の姿が魔像のような影をひきながら、町は今が人出の盛りでした。
いうがごとくつけている者があるとしたら、尾行者にとっては人出のその盛りこそ、まことに屈強至極です。ねらわれているとしたら、また伝六にはこのうえもなくふつごう千万なのでした。