Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(三)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.558 Zeichen · 480 Bildschirme
かわいい子どもをのこして自分だけ身をかくすなんてことはめったにある道理はござりませぬが、広い世間には鬼親もないわけではござりませぬ。ひょっとしたら、あの器量よしの若後家も、おまんまいただけぬつらさから、ついふらふらと心に魔がさし、子どもたちを置き去りにして、自分だけどこかへ姿を隠したのではなかろうかと存じましたのでな。いっそ思いきって、日本橋か浅草か、人通りのしげい町中へ子を捨ててみろと、入れ知恵したのでござります」
「異なことを申すな。人通りのはげしい町中へ捨て子をしたら、なんのまじないになるのじゃ」
「べつになんのまじないになるのでもござりませぬが、人出のしげいところへ捨て子をしておけば、それだけよけいひと目にかかり、それだけよけい評判も高まる道理。伝わり伝わって、捨て子のうわさが江戸のどこかに隠れている母親の耳にはいりましたら、よし一度は思いあまって邪慳な心となった鬼親でござりましょうとも、やはり真底は子どもがかわいいに相違ござりませぬゆえ、もしや置き去りにしたわが子が捨てられたのではなかろうかと、うしろ髪引かれて姿を見せぬものでもあるまいと思うたからでござります。