Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(三)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.558 Zeichen · 480 Bildschirme
「ちきしょう、あの手この手を出しやがらあ。くやしいね。とんだ引導を授けていやがるんですよ。はええがいいんだ、飛び込みましょうよ!」
「黙ってろ」
目顔でしかりつつ、息を殺して木立ちの陰にたたずみながらうかがっていると、ぴたり祈祷の声が終わると同時に、ふたたびまたしいんと怪しく静かに静まり返って、ややしばし気にかかる沈黙がつづいたかと思われるや、とつぜん、シュウシュウと帯でも締め直したらしい気勢が聞こえるといっしょに、すうと障子があいて、あたりをはばかるようおしろい焼けの素顔もかえって艶な二十六、七の、すばらしいあだめかしい年増女です。つづいてあとから現われたのは、それこそ問題の興照寺住職にちがいない。目のさめるようなみずみずしい美男僧でした。――見ながめて、すいと身を現わしながら、歩み近づこうとしたとき、だが、意外なことばをふたりがかわし合いました。
「では、おだいじに。母上にもよろしゅう」
「申しましょう。おまえもたいせつにな」
耳にするや同時です。にたりと苦笑を漏らして名人が、そのままものをもいわず、さっさと足を早めながら山門の表に引っ返していったので、たちまち早雷を鳴らしだしたのは伝六でした。