Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(三)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.558 Zeichen · 480 Bildschirme
――騒ぎもまたぴたりと静まって、押えつけていた近侍の面々が手を引くと同時に、はじめて直訴人の姿が雪の中から現われました。
年のころは六十あまり、常人ではない。一見するに凛烈、人を圧するような気品と凄気をたたえて羽織はかまに威儀を正しながら雪の道に平伏している姿は、どうやら、一芸一能に達した名工、といった風貌の老人なのです。――ひざまずいたまま烱々とまなこを光らして名人は、ややしばし老直訴人の姿をじいっとうち見守っていたかと見えたが、さすがは慧眼無双、そちひとりおらばと名宰相が折り紙つけただけのことがあって、せつなのうちにもうあの眼がさえ渡りました。
「御前! 火急のお計らいが肝心でござります。必死の覚悟とみえまして、まさしく訴人は切腹しておりまするぞ」
「なにッ」
「みるみるうちに顔色の変わりましたが第一の証拠、直訴を遂げて気の張り衰えましたか、五体にただならぬ苦痛の色が見えまするでござります」
「いかさまのう。調べてみい」
にじり寄って懐中を探ってみると同時に、果然、前腹からわき腹にかけて幾重にも堅くきりきりとさらしもめんの巻かれてあるのがその手にさわりました。